強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「お疲れ様です」

凛とした声に百合香も坂谷も背筋を伸ばして顔を上げた。
目の前に立っているのはパリッとした真っ白なシャツに黒のストライプが入ったパンツを着こなしている美雪だった。

「あ、どうも」
「お世話になってます」

坂谷に続いて百合香も挨拶をした。
前に事務所でちらっとしか見ていなかったけれど、間近で見ると、やっぱり美人でつい見入ってしまう。

スタイルもよくて、自分の身長よりも10センチくらい高そうだ。さらにヒールを履いているのだから170センチ位でもうモデルのような出で立ちだ。
ただ不思議なのは化粧もばっちりなのになぜかけばくは見えないこと。

本当の美人はこんなものなのかと溜め息が出てしまう。


「あ、改めてごあいさつしたことがありませんでしたね?わたくし、オーシャンコーポレーションの阿部美雪と申します。」
「あ…あの、神野百合香です」


美雪はスッと慣れた手つきで名刺を差し出すが、百合香はもともと名刺交換のくせがないので出遅れてしまう。

「あー阿部さんずるいっすよー。オレは名刺貰ってないですよ?」
「あら。そうでしたっけ?」

くすくすと笑って坂谷も名刺を一枚差し出した。そして坂谷も名刺を差し出す。

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