強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「今日柳瀬さんは…？」
「あ、そこら辺にいると思いますよ」
「ありがとう」

笑顔を見せてそういうと美雪は柳瀬のいる方へと行ってしまった。


「すごい美人…」
「だよねー。でも今はフリーなんだって！」
「え？どうしてそんなこと…」
「この前ちょっと話して…」


坂谷が話の途中で急に真面目な顔を作って百合香から一歩横にずれた。
百合香がその動きに不思議に思っていると目の前に柳瀬と美雪が２人でいるのに気付いた。

「…ちょっといなくなっていいか」

柳瀬が坂谷に威圧をかけるような目線でそう言った。
坂谷は二つ返事で了承すると、柳瀬はバックヤードの方へと歩いて行った。

美雪は少し柳瀬が距離を離れたのを確認して、坂谷にそっと近づいた。


「彼女でしょ？坂谷くんの好きな子って。がんばって」


ウインクをしたあと百合香には笑顔で軽く会釈をして小走りで柳瀬を追って行った。


（今坂谷さんに何を言って行ったんだろう？）


百合香の耳には届いていなかったが坂谷は図星をつかれて、自分を見ている百合香に慌てて離れてどこかへ行ってしまった。

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