強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「お疲れ様でーす」
「…お疲れ様です」

百合香は柳瀬が近くにいることに物凄く動揺し、つい目を逸らしてしまったが、綾に続いて挨拶だけは交わした。

「なに?2人で飲みにいくの?」

江川が綾に言った。

江川は綾と同じく1階の担当フロア長だ。彼は既婚者で奥さんは元同僚らしい。柳瀬とは仲がいいらしく、百合香もたまにこうして2人で飲みに行く姿を見ていた。


「女子会ですから江川さんは参加不可ですよー」
「女子会、ね。まぁ一応”女子”か」
「あ!今の暴言です。ねぇ百合香。」


そんな綾と江川のやりとりを聞いて百合香はつい笑ってしまう。

「仲が良いですね」
「僕は神野さんとご飯に行きたいだけだよ」

江川は冗談で言ったということは百も承知だが百合香にはそんな免疫もなく、つい返答に困り頬を赤くしてしまう。


「奥さんに言っちゃいますよ!」
「ははは。たまにいいだろ。」


綾が江川に注意すると、いつもの冗談。と江川は笑っていた。

百合香はふと柳瀬に視線を送った。
百合香は柳瀬と目が合い、彼が何か言いたそうな顔をしていた気がしたがふっと目を逸らしてしまった。

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