強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「っと、ごめんね。オレ戻らなきゃ」

腕時計を確認してお弁当を巾着にしまいながら江川は席を立った。
百合香は笑顔で会釈をして江川の姿が見えなくなるのを確認してひとつ溜め息を漏らした。

今日のお弁当もまた喉を通らない・・・

いい捉え方をもしするのなら、あんな美人が自分の彼に好意を抱いている位彼が魅力的ってこと。
でもさすがにそんなに寛大な心は生憎持ち合わせていない。

ただ、嫉妬と不安に駆られるだけ。


しかも2日後に迫った出張。
美雪にとっては願ってもないチャンス。美雪の雰囲気から想像したら、自分とは違って積極的にアプローチするんだろう。

(そんなの妄想しながら3日間も私、耐えられるの?!)

でも現実には、仕事があって、出張は彼の大事な任務で、自分は付いていくことなんてできやしない。それは関係を明かせないからというのもひとつの理由だ。


いやだいやだいやだ。

子どもみたいにずっとそんな言葉を頭の中で連呼してたらいつの間にか休憩時間も終わりになっていた。

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