強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「よいしょっ…」

百合香はバックヤードの身長を悠に越えた2メートルくらいの高さの棚から鞄の在庫を引っ張り出すのに脚立に乗って声を上げていた。
すると後ろに気配を感じて見てみると坂谷がついてきていた。

「ああ!オレ取ってあげるから」
「・・・すみません」

百合香は付いてこられたことが偶然なのか必然なのか、疑いの目で坂谷の背中に視線を送っていた。

「はい」
「あ、ありがとうございます」

その鞄を受け取ると、坂谷が手を離さずに鞄をグイッと引っ張って百合香を引き寄せた。

「きゃっ…」
「神野さん。オレ、真剣に・・・」
「・・・・」

お互いに鞄を離さずに、バランスを崩した百合香は少し坂谷に添うように近い距離で視線を交錯させていた。

「オレのこと、嫌い?」
「えッ…嫌いとか、そういう風には…」
「好きなヤツって、どんなヤツ?」
「それは・・・」

坂谷の目がいつもと違って真剣で、声も低くて百合香は戸惑った。

「オレ、そいつから神野さん奪いたいから」
「坂谷さ・・・」




ガタン!

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