強引な次期社長の熱烈プロポーズ
制服を直して髪を軽く指でとかし、頬を手できゅっとあげて売場に戻る。

気づけば閉店の音楽が流れ始めていて、バイトの長谷川は片付けをしていた。

周りを見たら、坂谷はお客についていて、柳瀬は担当メーカーのショーケースをチェックしていた。

「長谷川さん、ごめんね！私も手伝う」
「あ、神野さん。すみませんお願いします」

そして百合香は試筆後の万年筆を洗浄し始めた。
グラスの中の水にインクが溶け出して混ざりあう。
何度も水を入れ換えながら、インクが薄くなるまで綺麗に洗う。


（私も、こうやって内に溜めてるものを出さなければ。中途半端に相手を傷つけてしまったり、自分自信が押し潰されてしまいそうになるから。
定期的に綺麗にしなければ扱いづらくなっていって····心も、万年筆も似ている気がする。）


「ありがとうございました、またのご来店お待ちしております」


最後のお客が帰って行って無事閉店となった。


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