強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「じゃ、明日遅刻すんなよー」
「お互い様ですって」

裏口から出た百合香達はそこで別れた。






「今日、あれからなにか進展は?」

乾杯が終わるや否や早速飛び出してきた例の話題。


「なんにもないですよ!むしろ夢じゃないかっていう位柳瀬さん普通ですもん」


百合香はグイッとジョッキを傾ける。

「柳瀬くんはポーカーフェイス得意だもんね」
「何考えてるのかさっぱりです」


(今日一日中柳瀬さんを気にして、気にして…それなのにいつもと同じように接してくるし。一人で思い悩んでなんだかバカみたい。)


「でも百合香はどうなの、好き?」
「えっ。好きとかそういう風に考えたことはない…」
「今まで、ないってだけでしょ。今よ今。現在!」


百合香は頭を抱えた。
確かに昨日まではただの上司だと思っていたけど、今日はどうだろう。
でもキスされたからって単純に好きになるなんてないし。
そうはいっても丸一日柳瀬を考えていたのは確かな話で…


「…わかりません」

ジョッキから手を放して百合香はぽつりと答えた。
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