強引な次期社長の熱烈プロポーズ
信じてる。江川のことも、勿論百合香のことも。
だけど俺の口から出た言葉は二人を疑っているかのような言葉だ。


「なに、って…ねぇ？」
「智さん、違います。今のは…」

「何かあったなんて思ってない。ただ、どんな理由があっても彼女に触れられるのは面白くない」


江川が笑いながら百合香に話を振り、百合香が何か言おうとしたにも関わらずに柳瀬は遮ってまで嫉妬心を露わにする。

（こんなカッコ悪いガキのような台詞を言うなんて。）

「神野さん、ね？絶対大丈夫でしょ？」
「···」

長身の体で後ろに隠されるようにして立った百合香に江川は言った。
そして百合香はそれに対してはにかむだけだった。


「数年分の反動でそこまで嫉妬深くなってるのか。それとも···」
「…何がいいたい」
「いや。オレは安心したよ。お前もそんな風に必死になれるんだな」


柳瀬はその時に初めて冷静になった。

まさかコイツに試されるなんてな…しかも百合香にまで。

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