強引な次期社長の熱烈プロポーズ
すると綾が百合香のその言葉を聞いて、急にジョッキを垂直に傾けて近くの店員に追加をオーダーした。

「…百合香だから話すけど」

そう前置きをして綾は話を始めた。

「私、実は江川くんが好きで。」

さらっと告白したその内容に百合香は口があいた。
その反応をみて綾がすかさず訂正しなおす。


「あぁ!過去!過去よ。正確には、好きだった。」
「え、いつから…ですか」
「奥さんと付き合う前から」
「奥さんて…桜井さんの同期でもあるんですよね?」


(なんだかこんがらがってきた…)


「結局自分が素直にならなかったから、こうなったのよ。後悔はしてるけど未練はないから安心して。」


今まで聞いたこともなかった綾のそういうプライベートな話。
でもどうして急にそんな話をしてくれる気になったのか…そう疑問に思った表情を読み取られて綾が先に口を開いた。

「私と同じようになって欲しくないから」

だから、もし自分の気持ちがハッキリしたなら素直になって欲しい。綾は百合香にそう言った。

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