強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「智さん、ごめんなさい」
「・・・どうせコイツに唆されたんだろう?」
「『唆す』はないだろう」

江川は、それはないだろう。というように嘆いて見せた。
百合香はどちらの顔をみてもおろおろするだけだった。

「むしろお前が今まで“唆されてた”んだろう。どっかの誰かさんに」
「なんで・・・」

優位な立場に成るべく、江川が上から目線でそう言うと、柳瀬は驚いて江川を見るよりも百合香の方を見てしまった。


「別にお前が誰となにしようとオレには関係ないけど」
「そんなことあるわけないだろう」
「…でも、彼女は理解しててもショックは受けるぞ」
「…わかってる」


江川の知ったような言い方に半分苛立ちながらも、後ろにいる百合香のことの方が気になって、江川に何かを言うことなんて後回しになっていた。


「それならいいけど。じゃあオレはこれで。またね、神野さん」
「あっ、本当にありがとうございました!」
「こちらこそ。カフェデート、ラッキーだったよ」

「おい。いい加減にしろ」


最後はまた得意の冗談で締めようとした江川だが今の柳瀬には余裕がない為に、すぐ噛みつかれた。
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