強引な次期社長の熱烈プロポーズ
結局テーブルの前に座って落ち着くと、さっきコンビニで適当に買ってきたおにぎりなどを広げた。

「お味噌汁とサラダ位作ります」
「いいよ、今日は」
「でも···」
「それより二人でゆっくりしたい」

そう言われてしまうと従わざるを得ない。
智さんでもコンビニのおにぎり食べたりするんだな、と興味津々で見つめてしまう。なんか、あまりにも完璧な人に思えてしまうから、そんなギャップにもまたやられてしまったり。

「····また。何?」

百合香の食い入るような視線に気付かない訳もなくて、柳瀬は呆れながら聞いてきた。

「智さんが、コンビニの梅のおにぎりを食べてる…」
「そりゃ腹が減ったら食べるよ」
「だけど、“智さんが”コンビニの…梅…」
「俺をどっかの御曹司みたいにでも思ってるの?」

(御曹司。うん、それはまたぴったりな言葉。)

相変わらず綺麗な所作に、指の先まで上品さが漂う彼は、容姿も御曹司と呼ばれるには相応しい。
ご両親はどんな人なんだろう、なんてこと疑問に思ってしまうくらいに。

だから余計にその手の中に収まってる梅おにぎりがミスマッチ過ぎて柳瀬とおにぎりを交互に視線を送ってしまう。
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