強引な次期社長の熱烈プロポーズ
百合香がそんな光景にいつまでも食い付いて見ていたら、今度は柳瀬の綺麗な瞳が百合香を映していて立場が逆転してしまう。

「た、食べづらいです…」
「だってお互い様だろう」
「···意地悪」

百合香が堪らず視線を逸らして頬を膨らますと、柳瀬の頬が緩み、ごめん。と一言添えられた。
そしてその後少しの間をおいて本題を口にする。


「今日、阿部さんには待ち伏せをされてた」
「はい、わかってます」
「『このあとどうですか』と言われたから、断ったら『仕事の延長ででも』と言われて」


ある程度は想像していた。覚悟も同時に。
でもやっぱり事実を聞くと、美雪は凄くストレートな人なんだと思って、羨ましくも感じた。
自分にはないところだから…


「それで、どうしたら諦めてくれたんですか?」
「“仕事上必要だ”と言って番号を渡す羽目になった」
「えっ···」
「それでとりあえず引き下がったよ」


美雪とどこかで繋がっている。
それはとても一言では表せない複雑な感情が渦巻いた。




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