強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「桜井さんっ」
「百合香!なんか久しぶりだね」

二人は喜びながら休憩室へ戻り、食事を共にした。
綾は日替わり弁当を口にしている。そして百合香はおにぎりとサラダを購入していた。


「最近は?百合香、ちっとも連絡くれなくなって」
「え?あっ、ごめんなさい」
「まぁ恋愛初期は忙しいか」
「もう。そうやって冷やかさないで下さい」
「ふふ、でもいつも一緒なんでしょう?」


百合香はちょっとだけ顔を赤くさせて、小声で綾を窘める。
最後に言われた綾の言葉と、自分で買ってきた梅おにぎりを見て昨晩のことを思いだし、さらに頬の色を染めてははにかんだ。


「もう、幸せオーラ出てるよ。百合香ったら」

綾は呆れながらも羨ましそうに笑って言った。
そして思いだしたように綾が続けて話をする。

「そういえば柳瀬くん、出張なんでしょう」
「····はい」

綾はただ、離れる期間淋しいわね。と言いたかったのだが、百合香の表情が淋しさだけからくる影ではないことに気付いて問い掛けた。


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