強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「何?まさか喧嘩なんてしないだろうし」
「あ···」

百合香はうっかりまた顔に出してしまっていた。
あれだけ柳瀬に言われたばかりなのに。
柳瀬は勿論、綾や、今はきっと江川も百合香の中では心を開ける人で…だからつい、気が緩んで自分の気持ちを曝け出してしまう。

「いや···」

なんだかいつも自分の話ばかりだし、しかもその話も楽しい話題ではないし。休憩時間をフルに使ってしまう位話長いし…

そう思っての躊躇いだったがそんなものは綾には不要だった。

「隠そうとしても無駄、だよ?」
「隠そうとしたわけじゃ。ただちょっと長いし、面白くないし」
「いいよ、長くなったって!」

綾は完全前傾姿勢で聞く気満々。準備はオッケーだ。

そして、百合香はなるべく暗くなりすぎないように、かいつまんで説明した。
柳瀬と美雪のこと、坂谷のこと。美雪が自分と柳瀬との関係に気付いてそうで、その上でさっき言われたこと。


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