強引な次期社長の熱烈プロポーズ
ふと、視線を綾のお弁当から少し上へあげると、綾の胸ポケットのネームの上に光るクリップに目が留まった。

「桜井さん、そのペン…」
「え?ああ、これ?ボールペンだよ~」

そういいながら百合香の手に渡してくれた。

銀色のクリップに黄色いボディ。パッと見はただの黄色に見えたけど、手にしてよくみるとマーブルのような模様が不規則に入ってる。
その回転式ボールペンのペン先を繰り出して出してみると、インクはブルーのようだった。

「素敵なペンですね。これって…イタリアの?」
「そう。ミラン。そっちにいたときに勢いで買っちゃった!」

イタリアのミランというメーカー。
種類は豊富ではないけれど、女性的なデザインが多くて、女性はこのメーカーのショーケースの前で立ち止まることが多い。
カラーもバリエーションが豊富で、基本全種類5~8色出ていたもの。

値段は決して安くはないが、本当に素敵なデザインだからジュエリー感覚で購入されたりもする。


そんなこのボールペンは色も、形も綾のイメージにぴったりだった。


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