強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「今は素敵なペンがたくさんあるのね。昔は黒い万年筆、あってもエンジ色のふたつだったわ」
「せっかくですから書いてみますか?」

そんなやりとりをしているところに美雪が通りがかり、自分の社の商品を見ているとなれば気になってカウンター内にゆっくりと入ってきた。


「オーシャン…?昔からあるわよねぇ。私のも確かここの万年筆だった気がするわ」
「そうなんですか!じゃあ今度是非メンテナンスにでもお持ちください」
「でももうかなり前のだからねぇ…」
「見るだけは無料ですから」

和やかに会話をしながら百合香と女性はショーケースの中に視線を泳がせていた。


「今回はボールペンをお出ししてみましょうか?」
「え?」
「万年筆は大事に持ってらっしゃるようなので」
「そうね…」


話が少しまとまり始めた頃に、横から聞きなれない声が聞こえてきた。

「いらっしゃいませ」

百合香が驚き横を見ると、美雪が笑顔で立っていた。

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