強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「ああ、こんな立派なものはやっぱり私には勿体無いわ」
「そんなことはないですが…ボールペンもお出ししますね。あと、こちらに椅子もございますのでどうぞお掛けになって下さい」

すっかり意気消沈してしまいそうになった百合香だが、お客様には関係ないことなので、気を取り直して再び女性に対応をした。


「ボールペンは本当に楽ね。けどなぜだか万年筆の方が字が上手く書ける気がするわ」


女性は椅子に腰を掛け、そんなことを繰り返し呟きながら、しばらく数本のペンの書き比べをしていた。
その女性はペンに集中していたので百合香はその間余計な話し掛けをしないように見守っていた。

ふと、バイトの長谷川を休憩に入れてないことに気がつきさりげなく周りを見た。
近くにいたのは湯川だったので、百合香は近くのメモ用紙に休憩に入れてあげるよう言付けを書いた。

「湯川さん」

一声だけ上げて、メモを渡すと湯川は笑顔で頷き去っていった。


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