強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「すみませんが、そちらのペンも持たせて頂けます?」

女性がそう言って指したのは今百合香がメモ書きに使ったボールペン。
それは値段にすると割りと安価な方だが十分書きやすく、シンプルなデザインのものだった。


「ええ、どうぞ。書いて頂いて構いませんよ」


そう言って百合香は胸元に戻したペンをまた取って渡した。


「···凄く軽くて本体の長さも太さもちょうどいいし書きやすいわ!」
「ここ最近出た商品で。インクが滑らかに出るのがウリのものなんです」


とても嬉しそうに文字を書く女性を、百合香も嬉しそうに眺めていた。

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