強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「たくさん出して頂いて申し訳ないですけど、これと同じものはありますの?」
「ええ勿論」

百合香はすぐに同じものの新品を持ってきた。

「なんだか…これだけ付き合ってくれたのに安い買い物になってしまって申し訳ないわ」
「そんなことないです!気に入って頂けるものが見つかって私、嬉しいです!」

売上の貢献は微々たるものだがそれは百合香の本心で、自分自身もとても満足していた。
すると女性はそんな百合香にお詫びも兼ねて言った。


「同じペンをもう一本戴こうかしら」
「え?もう一本ですか?」
「とっても書きやすかったから。インクが切れた時に···」


優しい口調でそう言ってくれた女性に百合香が返した。

「インクがなくなってまだ必要な時にはまた来てください。本体を買って頂かなくても替芯という中身だけのものも置いてますから」
「そんなものがあるの?わかりました。ではまたその時に。ご親切にありがとう」

そうして初めにお勧めしたペンとの値段の差が四千円以上ある、リーズナブルなペンが売れた。

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