強引な次期社長の熱烈プロポーズ
6.初日·広島
*
―――――広島
もうすっかり春になって、むしろ日中は初夏の暑さを感じられる位に暑い。
柳瀬はスーツの上着を脱いで腕に掛けてタクシー乗り場へと移動した。
隣には美雪、金山、笹森がいた。
「では私はここで。明日工場で待ってますから」
そう言ったのは金山だ。彼は一人でタクシーに乗り込むと走り去って行った。
「私はちょっと、今日は視察に行きたいので」
「ああ。だったら僕でよければ案内しましょうか」
「ご迷惑でなければ」
柳瀬の今日の予定は広島の文具店視察。
取扱い商品や、陳列方法、フェア内容や店内内装、商品を飾る什器まで色々と見て、自店に生かす。
それを今日の半日を費やして回る予定だった。
それを、1年前までここに住んでいた笹森が案内してくれるというからありがたい。
柳瀬は広島に出張で来るのは2度目だが、前回はかなり前だし、その時の上司について回っただけだったためあまり地理までは記憶に残っていなかった。
更に、ここ数年で新店舗も展開したりと街風も変わっているだろうと思えば、笹森の申し出は心強かった。
―――――広島
もうすっかり春になって、むしろ日中は初夏の暑さを感じられる位に暑い。
柳瀬はスーツの上着を脱いで腕に掛けてタクシー乗り場へと移動した。
隣には美雪、金山、笹森がいた。
「では私はここで。明日工場で待ってますから」
そう言ったのは金山だ。彼は一人でタクシーに乗り込むと走り去って行った。
「私はちょっと、今日は視察に行きたいので」
「ああ。だったら僕でよければ案内しましょうか」
「ご迷惑でなければ」
柳瀬の今日の予定は広島の文具店視察。
取扱い商品や、陳列方法、フェア内容や店内内装、商品を飾る什器まで色々と見て、自店に生かす。
それを今日の半日を費やして回る予定だった。
それを、1年前までここに住んでいた笹森が案内してくれるというからありがたい。
柳瀬は広島に出張で来るのは2度目だが、前回はかなり前だし、その時の上司について回っただけだったためあまり地理までは記憶に残っていなかった。
更に、ここ数年で新店舗も展開したりと街風も変わっているだろうと思えば、笹森の申し出は心強かった。