強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「では、私は先にチェックインを済ませておきます。柳瀬さん、よければ荷物を」
「いや···大変でしょう？」
「スーツケースを持ち歩く方が大変でしょう？そこのタクシーにさえ乗せればホテルマンの方に手伝って頂けますから。貴重品だけはお願いします」
「····では」

美雪にそう言われると、柳瀬は笹森の手前引き下がるしかなかった。

「あれ、でも笹森さんは？」

笹森も昔はここに住んでいたが今は東京に家がある。
笹森も同じくチェックインが必要なのでは、と思ったのだった。

「ああ！すみません。僕はちょっと、こっちの同期のとこに行く予定でして」
「そうだったんですか。いいですね、同期」
「ええ、まぁ。良くしてくれますよ」

頭をかきながら照れたように笹森はいうと、美雪はタクシーを止めて荷物を積み込んでいた。

「じゃあ私は行きますね。食事の時に、また。１９時に予約してありますから」

そう言って美雪もタクシーに乗り込み出発した。

「じゃあ僕らもいきますか」

笹森の声掛けに頷いて柳瀬は駅を後にした。
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