強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「ところでさ、今日まだ連絡は？」
「ん、ないです…きっと接待とか受けていると思うので」

綾が腕時計を見て言う。

「だってもうこんな時間だよ？もういい加減いいんじゃないの？電話くらい鳴らしてもいいでしょう」

そう言われて携帯を手に取る。やっぱり連絡はまだない。
時間を見ると、綾の言うとおりもうこんな時間。午後１１時半を回っていた。

「今！電話しなよ！」

綾にそう言われて、勢いで柳瀬の携帯にコールを鳴らしてみた。

ドキドキドキ…

なんの緊張かわからない。
綾の目の前で電話をしているからなのか、どんな風に電話に出てくれるのかと思っているからか。
それとも今は電話をして大丈夫かという不安からなのか。

しばらく受話器の無音が続く。
その間綾も百合香に釘付けだ。


プッ
『・・お掛けになった電話は、電波の届かない場所におられるか、電源が入っていない為掛かりません』



（―――え？）