強引な次期社長の熱烈プロポーズ
百合香は綾が差し出している携帯の画面をじっと見つめながら微動だにせずいると、痺れを切らして綾が言う。


「百合香！そんな悠長なことしてたらほんっとーに後悔するよ！」


そういって綾は自分の携帯を操作し始めて百合香に無理やり渡した。


「桜井さ…」
「もうコールしたから。百合香話して」


有無を言わさず手に携帯を握らせると本当に発信中って画面に出ているから慌てて耳に充てた。
すぐにコール音が途切れて男性の声が聞こえてきた。


「す、すみません、そちらに柳瀬さんという方は宿泊していますか？連絡が取れなくて」


百合香の言葉に綾はなぜか意気込んだ顔で何度も頷いていた。
そして電話越しに名前を聞かれ答えると、少々お待ち下さい。と言われてしばらく待たされた。


「どう？いそう？」


小声で聞いてくる綾には首を捻って答えるしかまだなかった。


『お待たせしております。ご本人様の了承を頂きましたので直接お電話つなぎます。そのままでお待ちくださいませ』


男性が流れる様にそう言うと、またコール音がなってそれもすぐに途切れて声が聞こえた。



『はい』





この声は智さんじゃない――――――。
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