強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「少々お待ち下さい」

お釣りを渡し終えると百合香はラッピングをする。
その際後ろを向くことになる為内心ほっとする。
すると近くにいた坂谷が百合香の真横にとやってきた。


「大丈夫?」
「はい。包装はこれだけですから」
「そうじゃなくて、さっきの」
「あ···」

(やっぱり聞いてたんだ。)

大丈夫と聞かれれば別に何かされた訳でもないし、なんとも言えないのだけど。
答えに詰まっていたら坂谷がそのまま黙って横に立っていた。

ひとつだけの包装はすぐに終わり、百合香は袋に入れてその男性に手渡しに行く。


「お待たせいたしました」
「ありがとう。神野さん、もしよければ連絡先を交換できませんか」


そういってその男は名刺を差し出そうとした。


「申し訳ありません、お客様。個人情報ですので」


間髪入れずに2人の間を割って入ったのは言うまでもなく坂谷。


「僕は彼女に…」
「···社内恋愛は内密なんです」
「え?」
「彼女は僕の大切な人ですから」


食い下がって男が坂谷に抵抗しようとすると、坂谷は百合香が驚くようなことをすらすらと並べて言った。


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