強引な次期社長の熱烈プロポーズ
その後何事もなく柳瀬のいない2日目を無事に終えた。
坂谷と百合香は今日も早めの夕礼を終えて、1階よりも先にあがる。

昨日と全く一緒。

着替え終わってエレベーターを待っていると坂谷も着替えを終えてやってくる。


「お疲れさまでした」
「お疲れー」


仕事中と変わらない雰囲気。
昨日のエレベーターの感じは、まだない。

心の片隅に警戒心を置いたまま、百合香は坂谷とエレベーターに乗り込んだ。

無言のまま今日はあっという間に1階に着いて裏口を出た。

(あとはここで別れれば…)

そう思って傘をさした時だった。
やはり坂谷はそうはさせてくれなかった。
当然と言えば当然だろう。昨日も同じ時間にここで中途半端に別れてしまったのだから。

坂谷にとっては昨日の続きを始めたかった。

本当に昨日のあの時の続きかと思う位同じ感触同じ光景。
フラッシュバックしてくる。

開きかけた傘は地面へと転がり、百合香の手首に、坂谷の熱い手が。

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