強引な次期社長の熱烈プロポーズ
ボールペンやシャープペンシル、さまざまな文具が生み出されている。
インクの匂いが敷地内に香る。

段ボールいっぱいのご当地キャラクターのボールペンなんかもあるのだな、と改めて工場の膨大さを認識させられる。

各ライン見学はそこそこに、メインの万年筆の工房に案内された。
そこには建物は工場なのだが、中に入るとそれぞれのデスクが並んでいて、デスクの上にはそれぞれのこだわりの道具なんかがそれぞれ作業しやすいように置いてあった。

奥の方へと歩いて行くと金山と七重のデスクに辿り着いた。
2人はツートップ。だけどデスクは向かい合わせだったので、おそらく毎日仲良く作業しているのだろう。


「やぁ。待ってたよ」
「昨日はありがとうございました」


椅子をギシッと鳴らして背もたれに大きな体を預けながら金山が言った。


「今日はここで時間を遣うんだろ?」
「はい、できれば嬉しいです」
「みっちりしごいてやる」
「お手柔らかにお願いします」


金山は嬉しそうに柳瀬にそう言うと、柳瀬も上着を脱いで学ぶ気満々だ。
その様子を見て美雪と笹森は一度席を外すことにした。


「私達は事務所へ行っています。とりあえずお昼になりましたらまた迎えにきますね」


そういって2人はいなくなった。

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