強引な次期社長の熱烈プロポーズ


コーン、コーン、コーン

「お疲れ様です」
「お疲れさまでしたー」


工場では学校のように鐘が鳴る。
就業時間を知らせる鐘が鳴ると、従業員が一斉に仕事を切り上げた。

柳瀬と金山もちょうど作業を終えたところで、片付けと身支度を整えているところだった。


「一日つきっきりですみませんでした」
「いや、やっぱり筋がいい。本気でうちにきたらどうだ?」
「はは、職がなくなったときにお世話になりますかね」
「じゃぁ店長に話つけとくかな」


そんな冗談をいっていると、その作業場では2人きりになっていた。


「その万年筆も愛されるといいな」
「・・・はい、大丈夫ですよ」


柳瀬が大事にしまった万年筆を見て金山が優しい顔でそう言った。


「じゃ、今夜も行こうか」

金山が二カッと笑って柳瀬の肩をぽんっと叩いた。



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