強引な次期社長の熱烈プロポーズ


電話が、切られた。


さっき、美雪の声が聞こえた直後に無情にもツーツーと言う音しか聞き取れなかった。



『昨日は一晩中居れたのに、今夜はだめなんですか?』



私に聞かせるために言ったってわかってる。
事実かどうかはわからないけど、何か事情があったって思ってもいる。
だけど、やっぱり流石に直接言葉を聞くと堪える…


目頭が熱くなる。

泣いたって何も変わらない。


そしてまだ心の整理と準備が出来ていない時に電話が鳴った。
ドクンドクンと心臓が早鐘を打つ。
手が、震える。

この電話は誰から?

もちろんディスプレイには【柳瀬智】と出ている。

でも、もし出た時にまたあの人の声がしたら?
そしたらもう私、立ち直れない――――。


鳴り響く携帯をそのままに、息を潜める様に布団の中に潜った。

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