強引な次期社長の熱烈プロポーズ
＊

今日頑張れば明日は公休。
少し頭を冷やした方がいい。

百合香は逃げだしたい気持ちを押し殺してロッカー室を出た。

エレベーターに乗るとすぐに２階に着く。
そしてカウンターへと歩いて行くと、既に坂谷が準備を進めていた。


「あ、おはよう」
「おはよう…ございます」


先に坂谷が声を掛けると、すぐに目線は手元に戻り、百合香はレジのお金をチェックしにその場から少し距離をとった。

朝はすることもたくさんあるし、すぐにバイトの２人がきたり、朝礼が始まったりとで、坂谷と昨夜の続きの雰囲気にはならずに済んでいた。


朝礼では綾が百合香に声を掛けた。

「おはよう、大丈夫？」
「はい、色々すみません」
「・・・とりあえず今日会えるね」
「はい」

あの綾が深く聞いてこない。
さすがに今回はきっかけは自分のせいと思ってグイグイこられないのかな、と勝手に百合香は解釈した。

（でも桜井さんのせいじゃないですよ、ってまだ言えない私は本当弱い人間。）


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