強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「昨日ぎりぎりでしたが、確実に営業時間内の夕方位に送っている筈ですけど」
「え?そうなんですか?」
「今すぐ確認してください」
「…ごめんなさい。今日は営業時間とっくに過ぎてますから、電話は繋がりませんし、事務もみんな帰社してしまってますので…月曜日にならないと」


坂谷が証人だと言わんばかりに話をしても、美雪は飄々と受け流すだけ。
今日は金曜日だからあと2日経たないと本社とも連絡が取れないと美雪が主張した。
柳瀬はしばらく黙って2人の会話を聞いていた。


「ちょっ…、週明けには用意出来る旨、お客様に約束してるんですよ!」
「え?それは困りましたね…どなたがFAXを?」
「神野ですけど」
「まあ。うちへの注文に慣れてなくてどちらかに誤送信したのかしら…?」


坂谷は埒が明かないこの一連のやりとりにイライラを募らせ、自分の手を握り拳を作る。
そして同時に、さっきの美雪がぽつりと言っていたことはこのことだと確信に変わった。


「坂谷、とりあえずお客様に週末挟む為に予定より2、3日遅れそうと一本連絡を入れておいて」
「わ、わかりました」


柳瀬が坂谷に指示を出すと、坂谷はすぐに電話をしに居なくなった。
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