強引な次期社長の熱烈プロポーズ


「お疲れ様でーす」
「お疲れさまでした」

「おーお疲れ」


閉店して、事務所に戻った柳瀬はまっすぐ喫煙室へと入って行った。

煙草を一本取り出して口に咥えながら火をつける。
目を少し細めて煙を吐き出すと、硝子の壁にもたれかかって腕組をして、換気扇に吸い込まれていく煙を見るように天井を見る。

すると、ガチャリと喫煙室のドアノブが回り、一人室内に足を踏み入れてきた。


「―――店長」
「お疲れ様。」


店長は1階2階関係なく全体を行き来したり事務所にいたりする。
でも柳瀬がまだ副店長に就任する前は今の店長が副店長で柳瀬の直属の上司であった。

柳瀬は色々と仕事を教わってきたのは今目の前にいる店長だし、気さくな人柄に心を許している存在である。


「どうだった?広島は」
「はい、昔一緒に連れてってもらった時よりは余裕を持って見れました」

店長も柳瀬の向かいに立って煙草に火をつけた。


「はは、そうか。いや、電話で金山さんと話してね。柳瀬をくれって言われたよ」
「そんなこと言ってたんですか。で、店長はなんて?」
「美人をうちにくれるんだったらいいよって言った」
「また、そんなことばっかり言って…」


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