強引な次期社長の熱烈プロポーズ


「いつまでそうしてるの」

もういつも眠る時間を回っているというのに百合香は柳瀬から貰った万年筆を手に取ってはキャップを開け閉めしたりと、ずっとその調子だった。


「だって、ずっと見てても飽きないんですもん」


百合香がニヤけて万年筆に視線を送ったまま言うと、スッと柳瀬が百合香の手から“桜”を取り上げた。


「あっ」
「覚えておいて。百合香にこれを贈ったのは笑って欲しかったから」
「勿論、嬉し…」
「笑いかけるのは万年筆じゃなくて、俺に」


百合香が柳瀬から万年筆を取り返そうかと伸ばした手を逆に引っ張られて捕まった。

柳瀬は“桜”をテーブルにそっと戻すとその空いた手を百合香の唇に持っていき、キスをする。


「う…んっ……智さん」
「それは会社で見て。他の誰も見ないで、俺を想って」
「…だから今もそう想って見てたのに」
「今はその本人が目の前にいるんだから必要ないだろ」



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