強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「長谷川さんも?」
「湯川さんも?」

「心配だよねー」
「楽しみだよねー」


最後に長谷川と湯川の言葉が被ったが、全く合ってない事を二人同時に言うものだから百合香は全然理解出来なくて二人を見ていた。


「え…?なに?」
「どういうこと?」


当の本人たちも、話が噛み合ってないことに目を丸くしてお互いを見合っていた。


「長谷川さんは、なんのことを言ってたの?」
「私は、さっき店長から月曜日か火曜日辺りに打ち入り飲み会をするって。会社持ちで!」

「湯川さんは?」
「私は、客注の蒔絵が欠品だ…って…」


「蒔絵が欠品?!」


(打ち入りの飲み会は智さんから聞いてる。
だけど、蒔絵が欠品だなんて聞いてない!私が注文を受けてるって調べればすぐにわかる筈なのに!)

長谷川と湯川がお互いの情報を交換して、盛り上がって話を続けている横で、百合香は慌てて柳瀬が電話をしにいったであろうバックヤードへと走って向かった。

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