強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「じゃあ・・・少しまた、書いてみます?」
「ええ、もしよろしいのなら」
「勿論ですよ。ええと・・・」


そして百合香は近くのショーケースを真剣に見て回り、3本の万年筆をトレーに乗せて女性の前に差し出した。

一本はボディが女性らしいパールがかった塗装のピンクの万年筆。
もう一本は、落ち着いた色味のボルドー。これは今洗浄しているものと若干色は似ている。
そして最後の一本はマーブル調の綺麗なグリーンの万年筆。

どれも目の前の女性のイメージと、おそらく今預かっている万年筆と似たペン先のものだから書きやすいかと思っての厳選だった。


「どうぞ。ちなみに今お預かりしてますペンは細字でしたので、それに近いものをお出ししています。勿論、他の種類も同じ本体で、ありますので。」


女性は一本ずつ確かめるように、楽しみながら、試筆用の便せんにペンを走らせる。

そしてやはりこの前と同じで百合香はしばらく笑顔で黙って見つめているだけだった。


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