強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「あれ、全部私が仕組んだことよ」
「阿部さんが・・・」

まさか本人から自供が聞けるなんて思ってなかったから拍子抜けしてしまう。

そしてさらに驚く光景が目に入ったのだ。


「・・・本当にごめんなさい」


あのプライドの高そうな阿部さんが、いつも強気発言の阿部さんが。
私なんかに深く頭を下げて、しかもずっと頭を上げないでいる。


…ガコン

エレベーターがまたタイミング悪く到着した。
幸い誰も乗っていないそのエレベーターをちらりと確認して百合香はエレベーターを見送った。


「阿部さん・・・」


百合香が美雪の垂れた頭まで歩み寄って声を掛けるとゆっくりとその頭を上げた。

< 434 / 610 >

この作品をシェア

pagetop