強引な次期社長の熱烈プロポーズ
パチン!

本当に、軽く。

女の人だし営業だし。今日はうちで接客もしてもらわなければならないし。

百合香の掌が美雪の左頬に衝撃を与えると、美雪は驚いて目を見開いている。


「何かあるのなら直接私だけにすればいいじゃないですか」
「・・・・!」
「お客様は関係ないんです。もう私情は挟まないで…!」


百合香が珍しく厳しい表情を向けて強く言い放った。
すると美雪はなぜか笑いだしたのだ。


「ふ、ふふっ。あはは・・・」
「?」
「普通殴る?柳瀬さんでも拳を握りしめて我慢していたのに・・・」
「柳瀬さんが?」


美雪は笑いを止めなかったが、それは決して嫌味なものではなく、さっぱりとしたものだ。


「本当、あなたはバカ正直で無駄が多い人ね」
「…いいんです。それでも。」
「完璧な人間より、愛される、か」
「え?」



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