強引な次期社長の熱烈プロポーズ
次の瞬間。

軽く腕を掴まれて前のめりになる位の力で引っ張られる。
その少しの動きで空気が流れて柳瀬の香りにふわっと包まれる。

何が起きたのかと見上げる時には視界は遮られていて、わかることといえば自分の唇にそっと口づけをされたこと―――


「さっ…!!!?ちょ…*?%&#$☆+~!!!」


言葉にならない。
今の言いたいことを整理すると、

『智さん、こんなところで、こんなこと。誰かに見られたら!』

そして聞き取れない筈の言葉を性格に汲み取って、柳瀬は言う。


「坂谷と仲良く話なんてするからだ」


自分の口を押さえて顔を赤くしながら閉まっていく扉越しに、柳瀬の意地悪な顔が見えてまたしてもやられた!と思いながら5階へとエレベーターは昇っていく。

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