強引な次期社長の熱烈プロポーズ
知らない間にレストランに入っていて、百合香はまた柳瀬に笑われながら席に着いた。

全然気が付かなかった。
一点しか見えていなくて。きょろきょろと周りを見て、メニュー表をちらりと確認する限りでは洋食屋だった。


運ばれた水に柳瀬はゆっくり口をつけた。
百合香は水にも手を伸ばさないまま、昼から久しぶりの正面にいる柳瀬を真っ直ぐ見つめた。


「智さん、これ、本当に…?」
「ほんと、疑い深いね。どうみても夢じゃないだろう?」


(だって、夢じゃなきゃ何なの?)

別にプロポーズされていた訳じゃない。恋人になったのだって言ってみれば極最近。
それなのにあんな有名なジュエリーブランドの指輪を急に贈られたら夢じゃないかって思う方が普通だと思う。

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