強引な次期社長の熱烈プロポーズ

暫しの沈黙。


（こんな突然、柳瀬さんと二人きりにされたって困るよ桜井さん！）


百合香は心の中でそう呟いた。


「何か頼んだら？」


柳瀬が百合香にメニュー表を渡すとそれを受け取り、一先ず視線をメニューに向けて気持ちを落ち着かせる。
あの瞳を見ると、見つめられると、どうも落ち着かなくて。


「決まった？」
「え、あ、じゃあ同じのを」


百合香がそう言うと、すぐに柳瀬は店員さんを呼んで注文をしてくれた。

きっと普通のことなんだろうけどなんでか柳瀬がすることは、スマートで素敵に見えるのは気持ちが彼に傾いているからだろうか。


そんなことを思いつつ、柳瀬を改めて見る。


（いつもスーツ姿しか見たことなかったけど、休みの日はこんな感じなんだ。）


色の濃いジーンズにＶネックシャツ。それに黒のジャケットを羽織った姿はシンプルだけど、だからこそ彼らしく、また着こなせているから周りの女性の視線も頷ける。