強引な次期社長の熱烈プロポーズ
柳瀬のマンションの駐車場へ車を止め、二人は部屋へと入った。


柳瀬はいつものようにキーをテーブルに置き、ジャケットを脱いでソファに腰を掛ける。

百合香はそれをやっぱり部屋の隅で見届けると、柳瀬に言われる。


「また。そんなとこにたってないで座ったら?」
「あ…はい。あのっ、お茶か····コーヒーでも淹れましょうか!!」


柳瀬が自分の横のスペースをポンと手を置くと、百合香はこの期に及んで覚悟がまだ出来ずに時間を稼ごうとする。

けれど、柳瀬は百合香に時間を与えなかった。


「いいよ。ここ座って」
「·····はい」


(あそこに座ったら、もう本当に戻れない。
いや、既に逃げられないんだ。)


百合香は少し目を瞑ってひとつ呼吸をしたあとに、覚悟を決めて柳瀬の座る横に腰をおろした。


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