強引な次期社長の熱烈プロポーズ
少し緩んだ柳瀬の手からするりと手を抜き、目の前にある顔に両手を添えた。
その漆黒の目は未だに揺らいだまま。
百合香はその目を睨むように見ながら言った。


「私を····どんな女だと思ってるんですか」


そして頭を起こして目を瞑り、キスをした。
柳瀬は目を閉じる暇もなくそのまま放心状態だった。


「そんなことで敬遠なんかしない!むしろ、聞いて···すごくっ··」


大きな瞳は潤んでいて、今にも涙がそこから溢れ落ちそうだった。
しかし百合香の頬は桜色に染まり、口元は弓なりに上がって微笑んでいる。


「すごく嬉しいっ…!」



< 471 / 610 >

この作品をシェア

pagetop