強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「相変わらず仲が良いのね」


顔をあげるとそこに立ってたのは····


「「阿部さん!」」


同じタイミングで顔をあげ、同じ顔で、声を揃えて言うから美雪は笑ってしまった。


「先日はありがとうございました!」


百合香が深々とお辞儀をした。


「いいえ。喜んでくれてこちらこそ御礼を言いたかったわ」
「そんなに楽しいならやっぱりオレが行けば良かったかな?」
「坂谷くんは神野さん程興味持てなさそうだけどね」
「えっ!…バレました?」


そんな二人を見て笑う百合香の胸ポケットには2本の万年筆。

一本はあの柳瀬から贈られた花びらの“桜”
もう一本は黒に銀色のクリップのシンプルなデザインだった。

その万年筆を見て美雪は言う。



「神野さんは本当に遠慮がちなんだから···」

< 475 / 610 >

この作品をシェア

pagetop