強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「これが良かったんです」


百合香は笑いながらその胸にささった黒い万年筆を指でつんと触った。


「そんな顔で喜んでいたんでしょうね。金山が神野さんを気に入ってたから」
「金山さんが?!」
「柳瀬さんに妬く位あなたが好きになったみたいよ」
「そっ…そんな!」


百合香は顔を赤くして手をぶんぶんと振った。
美雪は口元に手を当て笑って言った。


「ぜひ、また広島に。と言付けされたわ」





そう――――月日はあれから約1年が経ち、百合香は先日出張で、前に柳瀬が体験したのと同じように広島へと行ってきたのだった。
そして、胸にある万年筆は百合香が金山から貰ったものであった。

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