強引な次期社長の熱烈プロポーズ
結局百合香は一人で決められなくて、柳瀬にお勧めを聞いてそれをほとんど注文してもらった。

料理が来る間はまたしばらく2人きりで何も話すことが見つからない。


「この後はどこにいこうか?」
「あ、ど、どうしましょう」
「君に聞くのは間違ってるか」


喉を鳴らして面白そうに笑う柳瀬は、きっとさっきの注文も決められない百合香に聞いても無駄か。という意味でそう言ったんだと思った。

百合香は少し不貞腐れて外の景色に目をやった。
1台の車が停車するのを見て、ふと思い出した。


「あ…昨日はありがとうございました。送っていただいて…」
「あぁ。別に、帰り道だから」
「今日は車じゃないんですね」
「神野さんと会えると思ってなかったからね。最初からわかってたら車で来てたよ」


さらっとそういう風に言われるとほんとにその気になってしまいそうになる。

(そうやって言ってくれたり、手を繋いだり…キスしてくれるのは私を好いてくれているから?)

そんな風に自意識過剰で思いあがってしまいそうだから困る。


「じゃ、この後も俺に付き合ってくれる?」


柳瀬がそう言った時にちょうど料理が運ばれてきた。

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