強引な次期社長の熱烈プロポーズ


「突然ごめんねー!」
「いえ、今日は智さんも帰りが遅いので」


朱美は仕事が終わった後、一緒に飲みに行こうとわざわざ店に電話まで掛けてきたのだった。
百合香は何か用件があるのかとも思い、快くそれを承諾して一件のバーに来てカウンターに朱美と並び、腰を掛けているのである。


「この間はお忙しい中、ありがとうございました」
「ん?いーのいーの!楽しみにしてたんだよー?“あの”智の選んだ女の子はどんな子なのか!遅刻しちゃったけどね!」


グラスを傾けながら明るく話す朱美は美人で若々しくて、とても10近く歳が離れているなんて思えないほどだった。


「今日は私に何か?」
「あ、うん。ただ一緒に飲みたくてー…で、ついでにこの前話してたオトナ女子の文具特集にちらっと協力願えないかなぁと」


人懐っこく笑う朱美につられて百合香も緊張がほぐれてきてくすくすと笑っていた。


「それと、もうひとつ特集組んでて―――」


そんな朱美の主導で繰り広げられる会話と共に百合香は勧められるがままお酒も飲み進めていた。
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