強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「神野っ！今日は付き合えよー！この前逃げただろ！」
「ええぇ··めんど····」


時を同じくして、椿も同僚に捕まりふらふらと街中を歩いていた。
そしてその同僚のチョイスで入った一件のバーに聞き覚えのある声が聞こえてきた。


（――ね、姉ちゃん？！··と、この前の上の義姉さんだ）


カウンターで楽しそうに話が盛り上がってる2人は椿の存在に気づくこともなく、椿も声を掛けることなく、隠れるように奥の席についた。


「ん？椿？なした？」
「いや！なんでもない」


いつもならすぐにでも声を掛けるところだが、昨日の今日でさすがの椿も姉·百合香にどんな顔をして会えばいいか整理がついていなかった。
ただ気付かれないように気配をなるべく消して、見守るように2人の背中を見つめていた。


「あ、美人さーん！！」


すると既に出来上がっていそうな若い男2人が来店するなり、入り口側に座っていた朱美に絡んできたのである。
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