強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「悪いけど、“姉ちゃん”は君のかもしれないけど“百合香”は俺のだから」

「!!!!」


椿に贈ったその言葉はこの前の智からは到底想像出来ないセリフで、椿はただ信じられないという目をして立っているだけだった。

去り際に笑ったその顔が、余裕を醸し出していて完全に自分の負けだと思わされるには十分だった。


「椿くん?!」


智と百合香が帰って行ってすぐに朱美が声を掛けた。


「···あの人、この間と今と全然違う――」
「あー…智?家と外で使い分けてるのね、きっと。無意識よ無意識!」
「完全に物静かな大人しい人だと···」
「相当百合香ちゃんに入れ込んでるわ、アイツ……あ!椿くん、知ってる?」


朱美が急に楽しそうにそう言うと、鞄から一枚の紙を取り出した。
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