強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「姉ちゃん··姉を、よろしくお願いします」
椿はそう勢いつけて言うとくるりと回れ右をして玄関のドアノブに手を掛けた。
「いつでも会いに来てやって」
背中に投げかけられた智のその言葉は顔なんか見なくても優しさと温かさが感じられて、椿は胸が熱くなった。
「姉さんも、早くうちに帰れよ」
「はいはい、じゃ百合香ちゃんによろしく。“ありがと”って言っといて?」
(ありがと?なんだ?)
そして不意の来客があっという間にいなくなると智は椿から受け取った紙袋を手に提げてリビングに戻った。
「···お客さんですか?」
急に寝室から百合香が起きてきて、驚いた智はガラにもなく紙袋を落としてしまう。