強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「“ロールキャベツ男子が彼、という彼女１００人に聞きました”」


智が意味を理解できないまま、読み上げる。
ご丁寧に朱美はそのページのどうやら見て欲しいところをマーキングしていたようだ。


「“普段はクールだけど、2人でいると違う一面を見せてくれて―――強引なところはあるけれどやきもちをやいているのはかわいいです。―――東京都在住Ｙさん(２７)”」
「ちょっ···それ···こないだの···！」


百合香に背を向けてそのマーキングした部分を読み終えると、後ろでは記憶にあるような内容だ、と困惑した百合香が右往左往していた。
朱美はこの間のバーでの他愛ない話の中で、しっかりと百合香に“取材”していたのである。


「これ、本当？――“東京都在住Ｙさん”」

「う···」

「じゃあ“強引”に聞こうか」

「！！！！」


家族が増えるってすごく楽しいことだけど、ちょっと大変―――。
百合香はそんなことを思いながら智の腕に今日も捕まえられるのだった。


「あ…！椿のプレゼントってもしかして…ロールキャベ···」


椿からの贈り物の意図がわかったときに、ふと思い出した。
私が初めて智さんに出した料理もロールキャベツだった、と。


「その訳もじっくり俺に教えてくれる？」


そう意地悪を言う唇まであと数センチ。

キスから始まる長い夜が今日も―――







＊おわり＊