強引な次期社長の熱烈プロポーズ

前編

季節は風も温かになってきた春先―――


入籍して約８か月経とうとしている百合香と智は相変わらず付き合い立てのように甘い毎日を送っていた。


「智さん、智さん！これどうですか？」


眩しいくらいの笑顔を向けて百合香はソファで寛ぐ智に寄り添った。
にこにこと自分に寄り添う百合香が智は堪らなく可愛かった。
その想いは我慢することもなく、ごく自然に態度で表わす。

智は自分の足元に座って見上げる百合香にキスをひとつ落とした。


「！！？」


そして未だにその“突然の愛情表現”に慣れることなく百合香は耳まで赤くして口をパクパクとさせていた。

そんな百合香がまた可笑しくて愛しくて。


「なに？」


そして自分は何事もなかったかのように話の続きをしようとする。